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CATEGORY 01FUTURE
これからの街づくり
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【PROJECT】大津・勝原地区開発
ブルームガーデンのぞみ野

姫路市内にある、日本製鉄の社宅跡地「大津・勝原地区」では、新駅を核に大型ショッピングセンター、スポーツクラブ、そして戸建住宅地からなる「コンパクトシティ」をめざした街づくりが進められている。なかでも最後の大型分譲地として開発された『ブルームガーデンのぞみ野』は分譲住宅事業における、自社の集大成として進められてきたフラッグシッププロジェクト。導入された「住む人が街を成長させるマネジメントシステム」はグッドデザイン賞を受賞。現在も地方公共団体などの視察が絶えず、各方面から注目を集めている。

  • RIKO SAITO齊藤 理子
    企業不動産開発本部 不動産開発企画部

※所属部署・掲載内容は取材当時のものです

美しい街並みを形成するためのハードは整えられた。
あとはその街並みをいかに具現化し、成長させていくか


開発面積約8ha、総区画数293区画、平均区画面積約53坪。2008年より土地利用計画に着手し、2010年に造成工事を始め、2012年より一般販売開始。2016年3月現在で、161区画が契約済み。以上が『ブルームガーデンのぞみ野』の大まかな物件概要だ。さらに物件を特徴付けているのが、そのランドプラン。街を南北に貫くメインストリートを境に、街全体を東西2つの街区に分け、各街区の中心に公園を設置。この計画のポイントは、2つの街区を東西に走る〈コミュニティ道路〉でつないでいること。幅員10m以上の広さを確保したこの道は、"歩車共存"という発想のもと、あえて車道・歩道の区別をなくし、つねに歩行者優先という考えに基づいて設計されている。具体的には、車のスピードを抑制するために緩やかに蛇行させ、路面の色調を変えるといった具合だ。これにより道路も生活空間の一部とし、住民の憩いの場へと昇華させている。しかも『ブルームガーデンのぞみ野』においては、街に入るための自動車の出入り口を5か所に限定。加えて、街のエントランスとしての雰囲気を醸成することで、外部からの通過交通の軽減を図る工夫も施されている。
造成工事開始とともに本プロジェクトにアサインされ、主に街のソフト面の計画を担ってきた齊藤理子は、次のように解説する。

「ランドプランについては、『大津・勝原地区』で先行して開発された戸建住宅街、『フェアヴィラージュあやみの』の計画を踏襲しています。そのうえで『ブルームガーデンのぞみ野』では、さらに無電柱化も実現。こうして美しい街並みを形成するためのハードが整えられました。そして今回最も重視したのは、この街並みをいかにサスティナブルなものにしていくかでした 。ついては、具現化したこの美しい街並みをさらに『維持、成長させていくための仕組みをつくること』。これが私に課せられたミッションでした」

『美しい街』『ふれあい、育てる街』『安心・安全な街』。
この街がめざす姿、この街の付加価値というものを明確に


造成工事が進むなか、齊藤はこの街をどんな街にしたいのか、あらためて自身に問い直した。そして再確認したのは、「世代を超えて住み継がれる街を、住民一人ひとりの手で育ててもらいたい」という想いであり、これは自社の街づくりの総意でもあった。齊藤はこの想いを、購入を検討中のお客様にわかりやすく伝え、この地で暮らすこととなる住民各位に共有してもらうために、街のコンセプトとしてまとめていくことから、自身の任務をスタートさせた。そして、ふたりの専門家に指導を仰ぎ導き出したこの街のコンセプトは、『美しい街』『ふれあい、育てる街』『安心・安全な街』だった。

「これによりハードとソフト両面を通じて、この街が目指す姿、この街の付加価値というものを、私自身も具体的にイメージできるようになりました」

そのうえで齊藤は、コンセプトを具現化するための〈街づくりのルール〉を策定し、ルールに基づき住民自らが〈街を育てる仕組み〉を構築していった。

3つの柱で構成される〈街づくりのルール〉を策定。
形骸化させないために「管理組合」も導入したら


『ブルームガーデンのぞみ野』の〈街づくりのルール〉は、地区計画、景観協定、景観形成指針の3本柱で構成されている。1つめの地区計画は姫路市とともに定めた、ルールの骨格となる部分。建物の用途、敷地に対する大きさ、高さ、道路からの壁面の位置の制限など、基本的な事項が定められている。これにより街に相応しくない建物の建築を制限することができる。2つめの景観協定は、2004年に制定された景観法に基づいた兵庫県初の取り組みとなった。建築物等に関する基準、敷地・外構に関する基準、緑化に関する基準など、住民各位で守る独自ルールが定められている。街の美観を保ち、街の個性を磨いていうくえでの核となる部分だ。そして3つめの景観形成指針は、齊藤の言葉を借りれば「おもいやりルール」。必ずしも遵守しなければならないものではないが、隣家に配慮した間取りや窓の配置とするよう導くことで、暮らしやすい環境の実現を目指している。
以上、3つの柱で構成される〈街づくりのルール〉によって、美しい街並みと快適な住環境が一定レベルで担保されることとなった。とはいえ、こうしたルールはひとたび住居を構えてしまうと、誰かが主体となって取り組む仕掛けがない限り形骸化する懸念がある。

「とくに戸建分譲地の場合、所有権の兼ね合いもあって、私たちは土地をすべて売却して以降は、街づくりに主体的に関わることが難しいのです。そこで着目したのが、分譲マンションで導入されている『管理組合』でした」

共有財産がないのなら、つくってみてはどうだろう。
そしてともに学び、交流を深める場にしたら


分譲マンションの管理組合は、例えば共有部などの共有財産の管理、同じ建物内に暮らすための共同生活の管理、そのためのお金の管理が主な活動の目的となる。そのため、管理組合が主体となって、現代のマンションは美観や快適な住環境が保たれている。ということは、この管理組合を『ブルームガーデンのぞみ野』にも導入することができれば、ルールも形骸化することなく機能するのではないかと、齊藤は考えたのだ。

「とはいえ、戸建の場合はマンションのように明確な共有財産がないことが難点でした」

そこで齊藤は、「ないのなら、つくってみてはどうか?」と思考を展開し、住民たちが集い、交流を深める「コミュニティハウス」や街のメインエントランス部分にベンチ等をしつらえたオープンスペースを設けることに。 それを管理組合の共有財産とすることで、管理組合を設立する名目とした。そしてここから、齊藤たちプロジェクトチームの独創的な取り組みが輝きを増していく。齊藤は事を急ぐことなく、入居世帯が100世帯となったところに管理組合を立ち上げるよう目標を設定。2012年4月より、コンセプトづくりで協力を仰いだ二人の専門家を講師に招き、住民が参加する、管理組合に関する勉強会を毎月開いていったのだ。もちろん、会場はコミュニティハウス。そして同時進行で、バーベキューや公園周辺の花植えといったイベントを随時開催。半年間で計15回の会合を設けていった。

「こういった会合により、戸建住宅地で管理組合を設立する意義について皆で知識の共有を図り、同時に新しく入居されてきた人を紹介する等、コミュニティ形成を促進する場にしたいと考えました」

祭りなどの各種行事を担う自治会を設立。
親睦を深めることで管理組合運営の後押しに


2012年10月のある日曜日、管理組合設立総会が開かれた。当初は「わざわざ管理費を支払ってまで、管理組合を立ち上げる必要があるのか」といった疑問を持った住民もいた中、住民たちの手により決断が下された。可決に必要なのは4分の3の賛成...。結果は、満場一致の可決だった。会場は大きな拍手に包まれた。齊藤は次のように振り返る。

「うれしかったです。満場一致で可決されるとは思いもしなかったので。自分たちの手で良い街をつくっていくんだという熱意を、私はあの拍手に感じることができました」

2013年、管理組合が正式に発足。以後、『ブルームガーデンのぞみ野』は、管理組合が中心となって街並みが維持管理されていくことになった。特に注目されるのは、管理組合と同時に景観協定運営委員会を設置し、建物をつくる際、景観協定に基づいているかを審査するようにしたこと。さらに管理組合が姫路市との間で管理協定を結び、専門家による高木の剪定などは市が担い、一方で日常の管理業務を自分たちで行うことを条件に、行政が管理する道路内にも植栽を設けられるようにしたことだ。これにより景観協定で定められた庭の植栽と道路内植栽が一体となり、緑の多い街並が形成されることになった。そして管理組合設立にはじまる一連の「住民協働型」街づくりが評価されて、2014年度のグッドデザイン賞受賞へとつながるのだが、齊藤の取り組みはこれに留まらなかった。
2016年には自治会を設立。自治会が主体となって祭りなどの各種行事を開催できるよう導き、そこで深められる親睦を、管理組合の円滑な運営に活用できるよう仕向けていった。こうして管理組合、景観協定運営委員会、自治会が三位一体となった全員参加型の住民組織が誕生。体制が整うまでは自社と姫路市がサポートし、管理組合の委託を受けた管理会社が実務を担うことで、「住む人が街を成長させるマネジメントシステム」が完成した。

継承すべきは、先輩たちの高い志。
自分のできる一番を、これからも積み重ねていく


齊藤は着任以降、これまでの足跡を振り返りながら、当時の心境を素直に明かす。

「正直、ここまでする必要があるのかと、自問したことも度々ありました。私なんてすぐに怠けてしまいますし、キャリアを重ねると楽して儲かる方法も知ってしまうので、ついつい低きに流れそうになるんです。でも、そんなときは先輩たちが手がけた、隣の『フェアヴィラージュあやみの』に足を運びました。すると、わかるんですよね。この街を実現するために、どれほどの情熱とエネルギーを注いだかが」

不思議なもので、こういうときは決まって旧知の住民と出会い、「良い街をつくってくれてありがとう」と言われたという。そのたびに齊藤は、背筋の伸びる想いがしたと話す。そして自らにこう言い聞かせ、気持ちを奮い立たせたという。

「継承すべきは、先輩たちの高い志。今、自分のできる一番をしよう」

齊藤は言う。住民が主役の街をプロとしてどうサポートしていくか。これが、これからのデベロッパーのひとつのテーマになると。とくに地方都市ほど高齢化や人口減少が急速に進むだけに、今回の取り組みはそうした問題へのひとつの解決策となるはずと。

「売って終わり、という仕事ではあまりに寂しいですし、それでは私たち日鉄興和不動産の仕事ではないと考えています。そこに住む人たちと一緒に街をつくっていく楽しさは、私たちの仕事の醍醐味ですし、自分がかけた想いの分だけ喜びが戻ってくる仕事でもあることを、私はこのプロジェクトで実感しました。目の前のお客様の暮らしを豊かにし、同時に50年先、100年先を見据え、住み継がれ育まれる街をつくっていく。とても難しいテーマですが、その分やり甲斐も大きい。つねに『自分ができる一番』を積み重ねることで、私は日本の街の活力につながる仕事をしていきたいと思っています」
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