TCFD 提言に基づく情報開示

ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティ経営の一層の強化・推進を図るために、2024 年 1 月に社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置しました。また、各本部の事業・業務において、サステナビリティを実現する為の取組みを推進する役割を担う、サステナビリティ責任者と推進リーダーを任命しました。サステナビリティ委員会は、原則半期に1回以上開催し、社長・副社長・常勤取締役・役付執行役員および各本部のサステナビリティ責任者を常任メンバーとしています。サステナビリティ委員会はサステナビリティへの取り組みに関する重要事項について審議・報告しており、気候変動に関する事項につきましても同委員会で審議しています。サステナビリティ委員会での審議・報告事項は取締役会に付議・報告し、取締役会が監督する体制としています。サステナビリティ委員会の事務局は当社企画本部経営企画部サステナビリティ推進室が担っており、同室は、当社グループにおける気候変動を含むサステナビリティの取り組みを全社で推進する機能も担っています。
サステナビリティ推進体制

ガバナンス体制

図:ガバナンス体制

戦略

当社はシナリオ分析(後述)を通じ、当社に関連する気候変動リスク・機会について、将来に及ぼす潜在的な財務的影響を検討しています。その定性的な概要は以下の通りです。なお、青字 となっているものがプラスの影響を意味します。
区分 内容 1.5~2℃シナリオ
財務的影響
4℃シナリオ
財務的影響
中期 長期 中期 長期
移行リスク 非グリーンビル認証物件の賃料・稼働率下落 - - -
非 ZEB 物件の賃料・稼働率下落 - - -
自社 GHG 排出量(成り行き)に係る炭素税負担
電気代の高騰
炭素税賦課による原材料高騰分の負担額
物理的リスク 洪水による直接損害(修繕費)
洪水による間接損害(営業停止による収入減少)
高潮による直接損害(修繕費)
高潮による間接損害(営業停止による収入減少)
保険料上昇コスト
気温上昇による冷房コストの増加
機会 グリーンビル認証物件の賃料・稼働率上昇 - - -
グリーンビル認証取得コスト
ZEB Ready 物件の賃料・稼働率上昇 - -
ZEB Ready 化推進に伴う減価償却費増加額
ZEH 推進に伴う収益増加
ZEH 推進に伴うコスト
再エネ導入に伴う炭素税負担減少効果
再エネ切替に伴うコスト
上記のリスク・機会の評価は、当社グループにて実施したシナリオ分析に基づいています。シナリオ分析の概要は以下の通りです。 1.5~2℃シナリオ:パリ協定を受け、各国がネットゼロに向けた長期戦略を策定し低炭素社会への実現に向けて取り組み、産業革命以降の気温上昇を 1.5~2℃に抑えるシナリオです。炭素税の導入、ZEB/ZEH 物件に対する顧客ニーズの上昇等を前提とし、上述のリスク・機会等について財務影響額を中期(2030 年)・長期(2050 年)にわたり想定しています。
【参照したシナリオ】
4℃シナリオ:低炭素社会への移行が進まず、企業活動や社会活動における化石燃料の使用が継続或いは加速し、産業革命以降の気温上昇が 4℃以上となる結果、気候関連災害が頻発化・激甚化するシナリオです。 洪水をはじめとする自然災害の頻発、気温上昇による冷房料金の高騰等を前提とし、財務影響額を算定しましたが、算定の結果、物理的リスクが当社グループに及ぼす財務影響額は中・長期においても重要でないと想定しています。
【参照したシナリオ】
この結果を踏まえ、将来にわたり当社としての観点から重要と考えるものは以下の通りです。

移行リスク

リスク
  • 非 ZEB 物件の賃料・稼働率下落
  • 自社 GHG 排出に伴う炭素税負担の増加機会
機会
  • ZEB Ready 物件の賃料・稼働率上昇
  • ZEH 推進に伴う収益
  • 再生可能エネルギーの活用による炭素税負担の削減
これらのリスク・機会を踏まえ、当社は以下のような気候変動対応戦略を推進しています。
移行リスクまたは機会 概要
戦略1
新築オフィス・物流施設等における ZEB-Ready 化の推進
リスク
非 ZEB 物件の賃料・稼働率下落
機会
ZEB Ready 物件の賃料・稼働率上昇
低炭素社会への移行を各企業が進める現在、ZEB-Ready 物件のような高性能のオフィス等物件に対する市場のニーズは高まっております。当社グループでは、2025 年度以降に当社グループが主に設計を担うオフィスビルにおいて、全件 ZEB-Ready を達成することを目標としています。
戦略2
当社販売住宅物件の全件 ZEH 化の実現
機会
ZEH 推進に伴う収益に対応
エネルギー価格や電気料金の高騰や税制上の優遇といった環境下、ZEH 物件のような高性能の住宅への市場のニーズは高まっております。当社グループでは、2024 年度以降に当社グループが設計・販売を手掛けるマンション等の住宅物件においては、全件 ZEH 水準達成を目標として取り組んでいます。
戦略3
再生可能エネルギー由来の電力の導入推進
リスク
自社 GHG 排出に伴う炭素税負担の増加
機会
再生可能エネルギーの活用による炭素税負担の削減
2023 年 5 月に GX 推進法が国会で成立し、今後 10 年間で 20 兆円の GX 経済移行債を発行することが可能となり、また、当該 GX 経済移行債を 2050 年までに償還する財源として、化石燃料輸入事業者が化石燃料賦課金(炭素賦課金)を支払う制度を日本政府が 2028 年度から導入することとなりました。
日本における炭素税の制度導入が見えてきた環境下、当社グループは自社物件・オフィス賃貸物件における再生可能エネルギー由来の電力の推進を進めており、当該再エネ化により 2030 年までにGHG排出量(Scope1,2)について 60%削減(2020年度比)、2050 年までに自社 GHG 排出量のネットゼロ達成を目標として取り組んでいます。

リスク管理

当社グループのサステナビリティに関する重要課題に関連するリスク・機会については、当 社企画本部経営企画部サステナビリティ推進室が中心となってリスク・機会を識別・評価し、サステナビリティ委員会で審議のうえ取締役会に報告することでリスクをモニタリングする体制としています。

指標/目標

当社は、「地球環境への配慮」を重要なサステナビリティ課題の一つとして認識し、以下の指標と目標値を設定し、取り組みを進めています。

(単位:t-CO2

指標 目標値 実績値
2022年度
戦略1 オフィスビルのZEB-Ready水準の達成 2025 年度以降に当社グループが主に設計を担う全オフィスビルにおける達成 対応中
戦略2 住宅物件の ZEH 水準達成 2024 年度以降に当社グループが設計・販売を手掛けるマンション等の全住宅物件における達成 対応中
戦略3 GHG排出量(Scope1+2) 2030 年度 60%削減(2020年度比) 2050 年度 ネットゼロ達成 55,951
Scope1 8,312
Scope2 47,639
上記目標の達成に向け、ロードマップに基づく取り組みを推進するとともに、今後、実際の達成状況をモニタリングしていく予定です。