老朽化した不動産ストックの活用・再構築

基本的な考え方

当社はこれまで、業界に先駆けて都市やマンションが抱える課題と向き合い、さまざまな再開発事業やマンション再生事業を手がけてきました。安全・安心な住まいの提案はもちろん、再開発組合やマンション建替え組合の運営支援、資金調達支援、施設建築物の設計協力、商業テナントの誘致、管理運営計画の作成支援やコストの低減、竣工後の管理・運営に至るまで、事業当初から地域やお住まいの方と一緒になって街の未来を考えています。今後も培ってきたノウハウを活かし、老朽化した不動産ストックの活用・再構築を図ることで、街への誇りや愛着の醸成が育まれる都市へと生まれ変わる「エリア価値の創造」に貢献していきます。

市街地再開発による災害に強い街づくり

進行中の主なプロジェクト

赤坂七丁目2番地区第一種市街地再開発事業(2028年度竣工予定)

当社は、赤坂七丁目2番地区市街地再開発組合の参加組合員の一員として、「赤坂七丁目2番地区第一種市街地再開発事業」を推進しています。
本事業では、高橋是清翁記念公園に隣接する約1.2haの区域を対象に、老朽化した旧耐震基準のマンション3棟や独立家屋の土地活用など地区全体の共通課題解決とともに、都市基盤の整備に合わせて、多様なライフスタイルに対応した居住機能やオフィス機能、および周辺エリアに不足している生活利便施設等を導入予定です。
本事業の特徴
  • 区画道路の拡幅整備および電線類の地中化など都市基盤整備による防災機能の強化
  • 高低差のある地形に考慮したバリアフリー動線の整備
  • 高橋是清翁公園と一体となる緑地(緑道)および広場を新たに整備し「緑のネットワーク」を形成

築地二丁目地区第一種市街地再開発事業(2029年度竣工予定)

築地地区は、高い交通利便性のもと旧築地市場を核に日本の食文化の発信拠点として発展してきたまちであり、ビジネス拠点・観光地として高いポテンシャルを有しているとともに、旧築地市場跡地における「築地地区まちづくり事業※1」、首都高速道路の大規模更新と連携した「築地川アメニティ整備構想※2」など、新たなまちづくりの機運が高まっているエリアです。
本事業は、こうした築地地区における先行プロジェクトとして、区域内の既存ビルを解体し、築地駅に直結する新たなオフィス・商業施設等が入居するビルを建設予定です。地下鉄駅を起点とした歩⾏者ネットワークおよびまちの活気と魅⼒を⾼めるにぎわい交流空間を形成します。また、現在の築地地区では希少な、駅直結かつ基準階500坪超のオフィス空間を整備することで、周辺地域の業務機能の向上に貢献していきます。
築地地区まちづくり事業
旧築地市場跡地である中央区築地五丁目および六丁目各地内において、民間の⼒を最大限に活用して、東京や 日本の持続的成長につながるまちづくりを進めていくため、東京都が事業者提案を募集した事業。2024年4月 に事業予定者が決定
築地川アメニティ整備構想
首都高速道路都心環状線の築地川区間において、上部を歩行空間として活用し、国際性豊かで多様なライフ スタイルを支えるアメニティ空間を創出することを目指す、2019年に中央区より公表された構想
本事業の特徴
  • 地下鉄駅を中心とした、歩いて楽しい築地地区のまちづくりを推進
  • 街区内ににぎわいや交流を生み、まちの活気と魅力を高める空間を創出
  • 駅前に防災機能や緑化空間などを整備し、安心で快適な暮らしやすいまちづくりを推進
新大橋通り沿い地下鉄出入口・駅前広場のイメージ

船堀四丁目地区第一種市街地再開発事業(2030年度竣工予定)

当社は船堀四丁目地区第一種市街地再開発事業の参加組合員の一員として、本事業を推進しています。
本事業は、江戸川区の複合文化施設であるタワーホール船堀の北側に面する区域を南北2つの敷地に分け、北側敷地には現在地である江戸川区中央から移転する江戸川区本庁舎(庁舎棟)と、南側敷地には住宅を含む民間棟を建設予定です。
市街地再開発事業の施行により、適正な高度利用や多様な都市機能の集積を図り、日常的な賑わいを創出するとともに、回遊性が高く、駅前にふさわしい拠点の形成を目指します。また、高台まちづくりとして、本事業で整備される庁舎棟・民間棟に加え、隣接する区施設を歩行者デッキで繋ぐことで、防災活動の拠点形成も図ります。
本事業の特徴
  • 街区の一体的な土地利用により、多世代・多文化の交流で賑わう共生社会の実現
  • あらゆる災害に備えた設計で防災拠点として機能
  • 船堀グリーンロードを軸とした安全で快適な歩行者空間の確保
  • 船堀街道と一体性のあるみどりのネットワークの創出

これまでの主なプロジェクト

大宮駅西口第3-B地区第一種市街地再開発事業(大宮サクラスクエアとして2024年竣工)

大宮駅周辺地域において、駅前の「ターミナル街区」はさいたま市策定の「大宮駅グランドセントラルステーション化構想」の東日本の玄関口として、東日本全体の発展をけん引していく街に位置づけられる一方、大宮駅徒歩4分の本地区は木造老朽建築物が多く、緑地などのオープンスペースが不足するとともに、狭あい道路が多く日常の交通に支障をきたしており、防災性の向上、土地の有効活用、交通環境の改善が課題となっていました。
当社は、大宮駅西口第3-B地区市街地再開発組合の参加組合員の一員として事業に参画し、住宅・商業・業務機能、防災機能を一体的に併せ持つ複合用途の施設建築物および道路などの公共施設を整備しました。
本事業の特徴
  • 複合用途の施設建築物には、敷地内緑化率 20%を確保するなど周辺環境に配慮
  • 災害時には帰宅困難者の一時滞在施設として施設の一部スペースを開放するほか、敷地外構部にはかまどベンチや防災トイレを設置するなど、有事の際の防災拠点機能を整備

十条駅西口地区第一種市街地再開発事業(J& TERRACE(ジェイトテラス)として2024年竣工)

十条駅西口地区を含む一帯は、東京都防災都市づくり推進計画において「重点整備地域」に位置付けられ、駅や周辺施設利用者のためのゆとりあるスペースが不足しているとともに、道路が狭く、木造住宅の密集地域となっていることから、防災などの面からも早急な改善が必要な地区となっていました。
当社は十条駅西口地区市街地再開発組合の参加組合員の一員として、本事業を推進しました。十条駅周辺市街地の防災性の向上と、駅利用者や地域住民が集い憩う「にぎわいの拠点」を形成することを目的として、市街地再開発事業では、駅前広場や都市計画道路などの都市基盤を整備し、また、良質な住宅を適切に確保・整備することで、まちの活力と安全性・防災性の向上を目指しました。
本事業の特徴
  • 下層部には駅前広場とつながるオープンスペースを確保するとともに、駅前広場に面し商業施設や地域生活を支える公共施設を整備
  • 上層部にはタワーマンションを配置し、商業・業務機能と住宅が共存し地域に開かれた空間を創出
2020年5月着工前
2021年10月

マンション再生による安全・安心な住環境の整備

進行中の主なプロジェクト

「東商センタービル」マンション建替え事業(2027年竣工予定)

当社は、東商センタービルマンション建替組合が施行する「東商センタービルマンション建替事業」における参加組合員の一員として事業に参画しています。
東商センタービルは、隅田川沿いに建つ地上10階・地下1階、事務所、展示場、住宅で構成された複合ビルです。本事業の施行にあたっては、2010年から現建物の老朽化と耐震不安を解消するために建替え検討を開始し、2018年の建替推進決議にて当社は事業協力者に選定されました。
2022年に建替え決議が可決、2023年に本組合の設立や権利変換計画の認可を経て、2024年に地下解体工事を含む本体工事に着手しました。なお、本事業は国土交通省の令和4年度「マンションストック長寿命化等モデル事業」の採択事業として評価されています。
高経年マンションについて、適正な維持管理および長寿命化に資する改修や建替えを促進するため、先導性の高いマンション再生プロジェクトへの支援事業
本事業の特徴
  • にぎわい創出の場となるオープンスペースや緑地を配置することで景観などを含めた市街地環境も整備
  • マンション住民以外の地域住民が利用可能な施設を設置し、地域のにぎわい創出を図る
  • 本事業と東京都スーパー堤防整備事業との一体推進により、本事業地の地盤を一部かさ上げし、緩傾 斜型堤防を整備することで地域の防災性向上に貢献
建替え前(東商センタービル)
建替え後(イメージ)

東京自興ビル・国分マンション建替え計画

建て替えの対象となる東京自興ビル・国分マンション(以下、本物件)は、地上13階建て、住戸79戸と事務所2区画からなる複合用途のマンションとして1968年に完成しました。本物件は2011年の東日本大震災を契機に再生検討が開始され、2013年に実施した耐震診断では「地震の振動および衝撃に対して倒壊または崩壊する可能性が高い」との判定を受けました。また、原因不明の漏水や赤水の発生等の給排水設備の劣化が深刻かつ修繕積立金不足により高額の耐震補強等への対応が困難であること等の問題も抱えており、これらを抜本的に解決し、将来にわたり安心安全で快適な居住環境を確保するためには建替えが望ましいと判断され、2023年12月の建替え決議集会で可決承認。権利者全員参加による建替組合の設立に至りました。当社は、検討初動期から建替えのサポートができる体制と実績が評価され2017年に事業協力者として参画し、円滑な建替えを実現する上での多岐にわたる課題解決をサポートしています。
本事業の特徴
  • 借地権かつ余剰容積がなく一般設計手法での建替え計画が困難な状況下において、隣地との共同化により建替え敷地を拡大を図り、東京都のマンション建替法に基づく容積率の特例緩和制度の許可を取得
  • まちの回遊性向上につながる空地や来街者が気軽に利用できる緑豊かな「憩いの場」を整備し、新たな地域貢献の拠点として機能
  • 一連の取組みが先導的再生モデルとして独自性、創意工夫が評価され、国土交通省による令和6年度「マンションストック長寿命化等モデル事業」として採択される
東京都のマンション建替法に基づく容積率の特例緩和制度:「除却の必要性に係る認定」(耐震性不足の認定)を受けたマンションの建替えで、新しいマンションの計画において公開空地等の整備により防災、環境など総合的に地域への貢献が認められると特定行政庁(港区)が判断した場合に容積率が緩和される

これまでの主なプロジェクト

金王アジアマンション建替え事業(グランリビオ表参道として2024年竣工)

金王アジアマンションは、当時築56年を経過し、耐震性不足、設備配管の老朽化や原因不明の漏水など、建物の不具合が頻発に発生し多くの問題を抱えている状況でした。当社は2015年より事業協力者として参画し、マンション再生の勉強会を開始するとともに、所有者不明住戸の対応や組合員の合意形成、組合員の意向を踏まえた施設計画の検討など、建替えに向けた課題を一つ一つ解消しました。
本事業の特徴
  • 建替え後は日鉄興和不動産の最上位ブランド「グランリビオ」へリブランディング
  • 緑豊かなアプローチと2つのラウンジを備え、都心にありながら潤いに満ちたレジデンスへ再生
建替え前(金王アジアマンション)
建替え後(グランリビオ表参道)

習志野台三街区住宅団地マンション建替え事業(リビオシティ船橋北習志野として2025年竣工)

習志野台三街区住宅団地は1967年の竣工から相応の年数が経過し居住者の高齢化が進む中、耐震性不足に加えエレベーターが設置されていないことや建物・設備の老朽化が進んでいたことなどから「マンション建替え等の円滑化に関する法律」を活用した建替えを実施しました。
本事業の特徴
  • 大規模プロジェクトだからこそ実現した広大な中庭(約1,900㎡)と充実の共用施設
  • 駅前の利便性と穏やかな住環境を享受できる良好な立地
  • 令和3年度マンションストック長寿命化等モデル事業に採択(敷地分割を活用し、組合員の仮住まい期間短縮を図り負担軽減を実現。災害時の中庭空間の一般開放、防災備蓄倉庫設置による地域貢献)
建物外観イメージ(建替え後)
中庭テラスイメージ
エントランスラウンジイメージ